黒鯛(チヌ)の食味と言えば、美味しくないイメージをお持ちの方が多いかなと思います。
汽水域のニオイがきつい河川でも悠々と泳いでいる姿を見ることも多く、「臭い」とか「不味い」とか、、、実際に美味しくない個体もいるのは間違いないのですが、ちょっとそのイメージばかり先行してしまって本当は美味しいのに評価の低い位置にいるんじゃないかなと思ってしまう悲しいお魚。
べらおの住む愛媛では黒鯛をルアーで狙うチニングが全然メジャーじゃなくて、その理由も「他に美味しい魚がたくさんいるのに、わざわざ狙って釣る魚ではない」という聞き取り調査の結果(個人調べ)にちょっと悲しい。
チニングで黒鯛がどうしても釣りたい。
そう思っているべらおを前に、立派な黒鯛が3枚並んで500円という冗談みたいな値段で売られていた。
40センチはあろうかというサイズが1枚で500円ではなく、3枚で500円!?
時期的に冬が近づいてきて脂を蓄え始めてくるし、ほかの魚に交じって遠洋で獲れたものだから河川に居つきのニオイがある個体でもない。
そう判断して買って調理して食べてみたら案の定バリ美味しかった。
サクッと解体して各部位を調理別に小分け。
ちょっとグロ画像になるかと思って写真に取らなかったですが、胃袋の中から小魚がたくさん出てきたので、食性が貝類ではなく小魚類に偏っていた印象。
貝類が多いと臭みが多い傾向にあるので、香りのしっかり効かせた調理方法にするのですが、甲殻類や魚類を多く食べている個体なら味付けのシンプルな調理が美味しいと思います!!
あ
兜割りした頭とアラは煮付け用。
切り身と中骨はお吸い物と、次回で紹介する炊き込みご飯用。
お刺身用はバーナーであぶって皮と身の間の脂も美味しく頂きました。
ぐつぐつと煮込まれるアラと頭。
砂糖は気持ち多めくらいのほうが美味しい。
皮目を炙ったお刺身はこりこりとした食感と身の甘みが美味しい。
夏の岸壁付近で釣れる黒鯛はちょっと匂いが気になることもあるかもしれないけれど、スーパーで売られているような、他の魚と混ざって遠洋の網にかかった黒鯛で特に寒い季節のものは美味しい!
中骨で出汁を取ったお吸い物。
味付けはシンプルに塩だけなのにしっかり旨味で出ていて何杯でも飲める味わい。
アラと頭の煮付けは身がほろほろと崩れて食べやすく、骨の間の美味しいところを余すことなく味わえる上品な味。
こんなに美味しいのに3枚で500円とは、、、
もっと黒鯛の食べ物としての地位が上がってほしいと言えるし、こんなに安く買えるのは消費者として嬉しい面もあるし、、、
美味しい個体を見極めて、その食味を楽しんでもらいたいです!